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【福島県】地名由来は県庁所在都市名。安土桃山時代に領主が縁起を担いで命名

福島県の地名は県庁所在都市名「福島町(福島城下)」に由来

福島県は、3度設置されている。
現在の福島県は「第3次」の福島県だ。

3度の福島県は、いずれも県庁を信夫郡(しのぶ ぐん) 福島町(福島城下)に置いた。
そのため、県庁が所在する都市名を取って「福島県」となったのだ。

なお、福島町(福島城下)は現在の福島市中心部にあたる。

福島城は安土桃山時代に改称された名前

福島城は、江戸時代から明治初期まで福島藩(福島大名領)の拠点が置かれていた。

実は、もともと所在地名を冠して「杉妻城(すぎのめじょう、杉目城とも)」と呼ばれていた。
杉妻城の築城時期は定かではないが、記録に初めて登場するのが室町時代の応永20年である。

その後、豊臣政権の時代の文禄2年ごろ(1593年ごろ)に、城主だった蒲生(がもう)氏が「福島城」に改称した。
福島城下も蒲生氏によって整備されたものである。

福島城の命名由来の記録は残っていないが、縁起を担いでの命名という説が有力

福島の命名理由は記録が残っておらず定かではない

福島城は、阿武隈川(あぶくまがわ)と支流の荒川(あらかわ)の合流点のすぐ近くにある。

そのため、三方を水域(川)に囲まれている地形を「島」に見立て、それに縁起のいい「福」の字を合わせたという説が有力だ。

縁起のいい漢字は「福」のほかにも多数あるが、なぜ「福」の字なのかは不明である。

福島城と同じように縁起のいい「福」の字を用いて命名された城は、福知山城(丹波国)、福井城(越前国)、福山城(備後国)などがある。

この中で一番最初に名付けられたのが福知山城だ。
戦国時代の天正7年ごろ(1579年ごろ)に、城主の明智光秀(あけち みつひで)によって、旧称の横山城から改称された。

福知山城の改称は、福島城の改称の約14年前だ。
そのため、福島城に「福」の字を使ったのは、福知山城を参考にしたからかもしれない。

なお、福知山城の命名理由は諸説あるが、平安時代に歌人の和泉式部が、現在の福知山の地で詠んだ歌「たには(丹波)なる 吹風(ふくち)の山の 紅葉は 散らぬ先より ちるかとそ思ふ」に由来する説が有力だ。
この歌の「吹風の山」から取り、縁起のいい「福智山」の字を当てたという(のちに「福知山」に変わる)。

福島県の地名に関する情報

現在の庁舎所在地 福島市
地名命名パターン 都市名由来
地名発祥時期 安土桃山時代
現都道府県の設置時期 設置:明治4年11月2日(1871年2月1日)
福島県へ改称:明治4年11月14日(1871年2月13日)
明治維新時のおもな管轄 福島藩
二本松藩
泉藩、平藩(磐城平藩)
中村藩(相馬中村藩)
下村藩(陸奥下村藩)
白河藩
若松藩(会津藩)

ほかにも現福島県域外に拠点を置く藩の領地や、旧 江戸幕府直轄地(天領)、旗本領なども存在
範囲内のおもな旧国 陸奥国(むつのくに)、岩代国(いわしろのくに)、磐城国(いわきのくに)
庁舎所在地の変遷
安達郡 二本松町 (二本松市)
明治4年11月2日(1871年2月1日)〜
信夫郡 福島町 (福島市)
明治4年11月14日(1871年2月13日)〜

参考資料

  • 『日本歴史地名体系』(平凡社)
  • 『古代地名語源辞典』楠原 佑介ほか (東京堂出版)

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